オークションの出品（検査）票とオークションの評価基準
各オークション会場にはそれぞれの独自の検査基準と、検査結果を記入する用紙（出品票又は検査票と呼びます）があり、その車両がどのような状態の車なのかを、前後よりの撮影の2枚の写真と併せて、基本的にはこの3点セットでオークションは車両情報を提供しています。各会場ごとに若干、その内容やフォームは異なりますが、最も業界で使われているUSSオークションを例にとって解説していきます。また、評価基準となる「評価点」に関しても、ユーエスエスオークションの基準を参考に解説しております。
オークション出品（検査）票
下に示すのが、その車両の状態を示す出品（検査）票です。（内容の各項目に赤で番号を振ってありますので、その解説もご覧下さい。）そして、前後の写真画像2枚が付属しています。
【おことわり】
ここではオークション業界最大手（業界シェア約30％）の「USSオートオークション」の資料を基に解説していきます。その資料の一部については、個人情報を特定できるような箇所に関して、プライバシー保護の観点から画像修正を加えておりますので、ご了承下さい。
出品（検査）票の解説
- 出品番号
その車両のその開催オークションでの識別固有番号となります。オークションではこの番号で呼ばれます。 - 車両情報
オークションに出品店が出品する際に出品側がその車両に関する情報を責任を持って記入します。虚偽の申告があるとペナルティとなる可能性があります。 - 走行距離
その車両のオークション出品時の走行距離を記入します。中には走行距離が不明の場合、走行距離改竄車マーク・メーター交換車マーク・走行不明車マークの入っているものもあります。この記入走行距離が「走行距離管理システム」のチェック対象となります。 - 評価点・内装補助評価
その車両が総合評価として何点の車かを示す記号です。最も重要なチェック項目の一つです。 - オークション検査員報告
検査員が車両チェックした際の不具合、特記事項などが記入されます。 - オークション検査員報告
検査員が車両の主に外装をチェックした際の傷（Ａ記号）・凹み（Ｕ記号）・塗装波（Ｗ記号）などを記入したものです。 - 出品ブロック
その車両がオークションのどの「セリコーナー」に出品されるかを記入してあります。 - 登録NO／車体NO
その車両の固体識別番号です。車検証に記載されているもので、そのオークション固有の番号である（１）の出品番号とは異なります。
オークション評価基準
基本評価が、外層評価（表2）と内装評価（表3）に分かれており、それぞれの個別評価の組み合わせで総合評価（表1）が決定される。
（表1）評価点および評価基準
| 評価点 | 走行距離 | 内装補助評価 | 外装補助評価 | 内外装の程度 | その他 |
| S点 | 10,000Km未満 | Aランク | Aランク | ほとんど無傷、無補修のもの | 登録後1年未満 |
| 6点 | 30,000Km未満 | 同上 | 同上 | ほとんど無傷、無補修で加修の必要のないもの | エンジンおよび足回り関係が良好であること |
| 5点 | 60,000Km未満 | 同上 | 同上 | 目立たない傷、凹みはあるものの、内外装ともほとんどか修の必要のないもの 外層部品の交換のないもの |
エンジンおよび足回り関係が良好であること |
| 4.5点 | 100,000Km未満 | Bランク以上 | Bランク以上 | 内外装共に軽微な補修をすることにより5点に準ずるもの | |
| 4点 | 150,000Km未満 | Cランク以上 | Cランク以上 | 目立つ傷、凹み、錆、焦げ、破れが少々あり、加修が必要と思われるもの | |
| 3.5点 | 同上 | Dランク以上 | Dランク以上 | 大小の鈑金や加修を必要とするところが数箇所あるもの 多数の焦げ穴、破れ等があるもの |
|
| 3点 | 同上 | Eランク以上 | Eランク以上 | 全補修、交換、張替えを必要とするもの | |
| 2点 | 商品価値の低いもの | ||||
| 1点 | 改造車・災害車（塩害・雹害・冠水車等）、粗悪車、競技車（ラリー・ダートトライアル等） | ||||
| R点 | 修復歴車 | ||||
| 点 | 極端な低年式車、レプリカ車、クラシックカー等の評価の困難なもの | ||||
（表2）外層補助評価基準表
| 評価点 | 評価基準 |
| Aランク | １．2〜3センチほどの小さな傷、小凹みが2〜3箇所以内 ２．鈑金塗装済みでも、直し方が良好なもの |
| Bランク | １．5〜20センチの傷、ゴルフボール大の凹みが少々あるもの ２．鈑金塗装済みで、少々波のあるもの ３．ガラス（ひび、ワイパー傷の大きなもの）割れのあるもの |
| Cランク | １．Bランク程度の傷、凹みが多数あるもの ２．20センチから40センチの傷が数箇所あるもの ３．握り拳大以上の凹みが2〜3箇所あるもの ４．鈑金塗装済みで大きな波、少々色ボケ、ムラのあるもの |
| Dランク | １．大きな傷が多数あるもの ２．大き目の凹みが数箇所あるもの ３．交換を必要とするほどひどい凹み、傷のあるもの ４．鈑金塗装済だが、再補修が必要なもの ５．錆の多いもの ６．腐食のあるもの |
| Eランク | １．ボディが全補修の必要なもの（傷・凹みの多いもの、色ボケ等） ２．腐食が多く、腐食穴のあるもの |
（表3）内装補助評価基準表
| 評価点 | 評価基準 |
| Aランク | 加修の必要がない、又は必要性の低いもので、そのまま展示できるもの １．目立たない小さな破れ、軽い焦げ、又は簡単に取れる汚れ等が、全部で2=3箇所までのもの ２．大きな部品の欠品がないもの |
| Bランク | 加修の必要性の低いもの、または不具合内容があまり商品価値に影響しないもの １．小さな破れ、軽い焦げ、擦れ、ビス穴が数箇所あるもの ２．小さな焦げ穴、ダッシュボードの小さなウキがあるもの ３．簡単に取れる汚れがあるもの |
| Cランク | 軽微な加修を必要とするもの、または不具合内容が商品価値を下げるもの １．焦げ、焦げ穴、擦れ、破れ。目立つビス穴、ダッシュボードのウキ、小さなひび割れ等があるもの ２．汚れはあるが、クリーニングによりBランクに準ずるもの |
| Dランク | 加修を必要とするもの １．多数の焦げ穴、破れ等があり張替えが必要なもの ２．ダッシュボードの大きく変形したもの ３．クリーニングをしても落ちないひどい汚れがあるもの |
| Eランク | 大きな加修を必要とするもの １．ダッシュボードに目立つ大きなヒビ割れや、加工跡があり交換を要するもの ２．内装、シート等にひどい汚れ、破れまたはヘタリ等のあるもの ３．室内に強い異臭があり、そのままの状態では展示できないもの |
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